かつて種痘をすると牛になると人々が信じ込んでいた時代があった

人々を天然痘から救うために尽力した蘭方医たち

みなさんは故・手塚治虫さんの漫画「陽だまりの樹」をお読みになったことがありますか?これは、幕末の日本を舞台に武士と蘭方医の2人を主人公にして描かれた漫画です。

主人公の一人・手塚良庵(じつは手塚治虫さんの実在の祖先!)は種痘所開設に尽力するのですが、西洋医学を嫌う御典医達に様々な嫌がらせを受けるんです。

ある女性患者を診た良庵は「今すぐ手術しないと」と提案しますが「蘭方医は引っ込んでろ」と言われ結局何もできず、患者は亡くなってしまいました。

正しいことを言ったのに、自分が蘭方医であるがゆえに何もできずに患者を死なせてしまった良庵はとても悔しかったでしょうね。

また当時は天然痘という非常に恐ろしい病気(20~50%の確率で死亡し、生き残ったとしても顔に瘢痕が残る)が猛威を振るっていました。

この天然痘はジェンナー医師によって研究され、牛痘接種(種痘)による予防法が広まっていきました。

ところが日本では、一般的に種痘が普及するまでにはかなり時間がかかったようです。「種痘をすると牛になってしまう」という根も葉もないウワサを人々が信じで怖がりました。

また蘭方医学を快く思っていなかった御典医達、漢方医達は当然、種痘のことも快く思うわけがないのでなかなか協力を得られなかったそうです。

それでも苦労の上ようやく種痘所が作られ、日本では1955年には天然痘は完全に撲滅されたそうです。人々は天然痘の恐怖から解放されました。

なんとなく糖質制限ダイエットと似ているなぁ…と思います。正しいものであっても、既存の勢力と真っ向から対立することになるものは受け入れられるまで時間がかかるのでしょう。

にゃご
正しいかどうかの問題ではなく、それが入ってくると困る人たちが妨害をするわけか…しょうがないな。

よっしー
まあね、でも彼らにしてみれば「俺たちはこれまで商売をしてきたのに邪魔しやがって!!」と思ってしまうのも無理はないかもね。結果的にそういうことになるから。

漢方医学と蘭方医学

日本ではかつて漢方医学がさかんでしたが、長崎出島のオランダ商館医などを介して、江戸時代の日本に伝えられたのが蘭方医学です。

医学書『ターヘル・アナトミア』が翻訳されて『解体新書』として刊行されると、蘭方医学への関心は一気に高まりました。

しかし話題になったとは言え、日本ではまだまだ漢方医学のほうが主流だったのです。現在のように西洋医学が広く受け入れられるようになるまでには、ちょっと時間がかかりました。

なんといっても、江戸時代に将軍家や大名に仕えた医師たちのほとんどは蘭方医ではなく漢方医でした。

しかし1858年、13代将軍家定が重病に陥った際には、将軍家においても漢方医だけにこだわるやめ、蘭方医の採用に踏み切ったのだそう。

まぁつまり…漢方医たちには残念ながら上様の病気が治せなかったので…ということですよね。ちなみに、家定は脚気(白米を主食とする者に多かった、ビタミンB1不足による病気)だったとか。

西洋医学と漢方は、併用することもできるはず。でも、やはり漢方医たちにとっては嬉しいことではなかったんでしょうな。

日本で最初に種痘が行われたのは1824年ですが、その後1909年に「種痘法」によって国民に定着するまでかなりの年月がかかってしまいました。いったいなぜでしょう?

最初はなかなか認められなかったが、最終的には…

天然痘治療に貢献し、日本の近代医学の祖といわれる緒方洪庵は子供の時に天然痘にかかった経験がある蘭方医でした。

緒方洪庵は蘭方医でありながら、同時に漢方にも力を入れていたそうです。これまでの医学を全否定するわけではなく、常に患者さんたちにとって最良の方法を考えていたわけですね。

ところが、漢方医たちはやはり面白いわけがありません。自分たちの商売にとってものすごくジャマになりかねないですもんね。

単純に「牛から採取したものを植え付けられると牛になるのでは!?」と思い込む人々がたくさんいたんでしょうけど、もしかしたら漢方医たちがそういう噂を意図的に流したのでは?という説もありますね。

また天然痘ワクチンを開発したジェンナー医師は、牛の乳しぼりをする女性たちが牛痘(声明に支障がない)にはかかるが天然痘にかからないことに気付いて研究を始めました。

ジェンナーは使用人の息子に天然痘を接種し、そのことを論文にしましたが不完全であると突っ返されてしまい、さらに症例を追加して自費出版しました。

自費出版のあと種痘は世界各国で行われるようになりましたが、そのことを快く思わない人たちがいたのだそうです。

正しいやり方をきちんと理解していない医師がまちがった方法で種痘を行い「なんだ、ちっとも効果がないじゃないか!」と批判したそうです。なんだかなぁ…

しかし結局、彼を本当に否定できる者はいなかったのです。1980年、WHO(世界保健機関)は天然痘撲滅を宣言しました。

時間がかかるかもしれませんが必ず受け入れられる日が来ます

前出のジェンナー医師は、あえて種痘方法の特許を取らなかったそうです。その理由は「特許をとるとワクチンが高価なものになり、多くの人々に行き届かない」と考えたからです。

純粋に人々を病気から救いたいという医師がいくら一生懸命やっても、別の方法でこれまで生活していた人たちから批判され、攻撃されてしまうのは残念なことです。

でも、どんな人たちにも生活がかかっているので、これは仕方がないことなんですよね…現在、糖質制限ダイエットを批判する団体もこれと同じだと思います。

どこかの団体が何かを攻撃するのは、基本的には自分たちの利益を守るためなんです。必ずしもそれが人々のためになるかどうかは関係ないと言うしかありません。

糖質制限ダイエットが広まってきたことで新しくそれに対応した商品を作って成功している企業もありますが、それがうまくいかない企業は困っているでしょうね。

しかし最初はあれほど苦戦した種痘が長い時間をかけて受け入れられ、最終的には天然痘の撲滅に成功したことを忘れてはいけません。

あなたの周囲の人たちが「糖質制限するとガリガリになる、認知症になる」と騒いでいても別にいいじゃないですか、あなたはひっそりと継続していればいいんです。

江戸時代の人々が「種痘で牛になるぞ!」と騒いでも実際に種痘を受けた人が牛になったという事実はいっさいなかったんですからw

いつの日か、遠い未来に「かつて糖質制限は危険なものであると認識され…」なんて書かれる日が来るのかしら?と思うと、なかなか面白いです♪

にゃご
種痘をすると牛になると信じて断固拒否するか、それとも受け入れるか…ってことだな。

よっしー
新しいこと(じつはそうじゃないんだけど)が入ってくると、受け入れにはそれなりに時間がかかるものなんだわ。気長にね♪

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