日本人の腸は本当にアメリカ人と比べて長いの?
「日本人はお米などの穀物を昔からよく食べてきたので、そのために適応して腸が欧米人よりも長くなったのだ。だから日本人は胴長なのだ」とよく言われますよね。
胴長短足の方は「なるほどね~、私のスタイルが悪いのは日本人だからしょうがないんだな」と妙に納得してしまうかもしれません。昔のよっしーもそうでした💦
でも残念なことに、1995年に発表された「東洋人と欧米人の腸の長さを比較した研究」によると、腸の長さは欧米人は平均114センチ(68~159センチ)、東洋人は平均111センチ(78~161センチ)で、両者に差は認められなかったのです。
日本人を含む東洋人は腸が長いどころかむしろ少し短いぐらいです。いろいろなサイトに「日本人はお米を食べるために腸が長い」と書かれていますが、その根拠となる文献などはほとんど示されていません。
小腸の長さは収縮した状態と弛緩した状態に大きな差があるそうですから、欧米人の腸の収縮した長さのデータと弛緩した長さの日本人の腸の長さのデータを比較して「日本人は腸が長い」と昔の人が勘違いをした可能性はありますよね!
ちなみにアメリカの成人男性の平均身長は176.4cmで日本の成人男性の平均身長は171.4cm、その差は5cmです。アメリカの成人男性の平均座高は92.05cmで日本人男性のそれは90.99cmだそうです。
…非常に残念ですが、日本人の胴は「相対的に長い」つまり体全体の中で脚が短く胴の占める割合が多いだけであり、「絶対的に胴が長い」わけではなさそうです💦
脚が長いとか短いというのは遺伝だったり栄養状態(タンパク質が不足していると脚がすらりと長い子にはならないと言われており、これが昔の日本人は現代っ子よりもスタイルが悪かったひとつの原因!)によります。
えっ?意外ですね~。「日本人はお米を食べるから腸が長い」という話を信じている人はかなり多いんじゃないですか?
根拠がないにもかかわらずほとんどの人が信じてしまったのね、不思議ね!
日本人の腸やすい臓は本当に穀物摂取に適応できているの?
「で、でもっ!日本人の腸には炭水化物を好む腸内細菌が多いんですっっ💦」という方もきっといらっしゃるでしょうね。
日本人の90%の腸内には、海苔やワカメに含まれる食物繊維を分解する酵素の遺伝子が含まれているのに対し、他の国では15%以下だったそうです。
つまり海苔やワカメを消化できる細菌が日本人の腸に多く存在しているらしいということになりますけど、海苔やワカメは糖質制限ダイエット中でもOKな食材ですよね♪
糖質制限ダイエット的には、1回に食べる量のワカメは何も問題ないです。海苔も、甘い味付け海苔でなければOKですよね。
ありがちな誤解で「糖質制限ダイエットをすると食物繊維が不足する」というものがありますが、白米ご飯150gにはたったの0.45gしか食物繊維が含まれていません。玄米でも2.1gです。
それに腸内細菌のことはとりあえず置いておくとして、100歩譲って日本人の腸が大量の穀物摂取に適応できているとしても、すい臓が対応できていないとしたらどうしようもないじゃないですか!?
よっしーは22歳ごろからずっと脂質制限と玄米食を続けてきましたが、20代半ばでまず妊娠糖尿病になり、いつの間にか2型糖尿病になってしまいました。江部先生もほぼ同じ状況だったようです。
仮に日本人の体が穀物食に完全に適応できているのであれば、私や江部先生が糖尿病になるわけがないと思いませんか?妊娠が判明するその日までフィットネスクラブでレッスンをしていたぐらい運動もしっかりやっていたのに💦
昔の日本人はお米を食べていた?
「日本人は大昔からお米を食べていたじゃないか!」と言われれば「もっと昔の日本人はお米を食べていなかったじゃないか!」と言うしかありません。
日本列島で初めて人類の痕跡が見つかったのは約9~8万年前、日本で稲作が始まったのは6700~3200年ぐらい前のことです。旧石器時代の遺跡からは、牛・ナウマンゾウなどの大型哺乳類の骨、ニホンシカ、イノシシ、ノウサギなどの中・小哺乳動物の骨が発見されています。
日本人は縄文時代ぐらいになると次第に木の実なども食べるようになりましたが、果物も木の実も現代のように品種改良されて甘くなったものではなかったうえ、1年じゅう欲しいだけ大量に手に入るものではなかったでしょうね。
また妊婦さんや子供も、当然大人の男性と同じものを食べるしかありませんでした。このことは、妊婦さんや子供たちも含めてヒトがお米を食べなくても健康に生き、妊娠出産して命をつなぐことができたことを意味します。
縄文時代の人は長生きしなかったと思われがちですが、じつは3人にひとりは65歳以上まで生きたようです。医学が未発達で予防注射も何もなかった時代にこれはなかなかすごいことだと思いませんか!?
江戸の人々は肉をあまり食べられず白米ならたくさん食べることが出来ましたが、身長がかなり低く(男性で155cm)「脚気」にかかる者も多く、平均寿命も短かったのです。
また江戸時代中期には糖尿病合併症について詳しく記録した書物が残されています。ガン患者もそれなりに存在したようですね。
長生きできなかった時代にも、若いうちにこれらの病気にかかる人はいたわけです。本当に昔の日本の食生活は健康に良いでしょうか?
お米の存在意義を否定しているわけではないのです
こんな記事を書くと「ひどーい!お米を否定しないで!」と思われるかもしれません。いろいろな考え方があるでしょうけど、よっしーは別にお米を否定していません。
ただ「お米を食べないと病気になる」とよく言われるので「その話には科学的な根拠はないよ」と申し上げているだけです。そして、栄養学的には食べる必要がないからといって存在意義がないわけではありません。
よっしーはときどき低糖質スイーツや低糖質パンだって食べますし、コーヒーも飲みます。これらはどうしても健康のために摂取しなければいけないものではなく「楽しみ」のために飲食しているのです。
白米ご飯150gの中に食物繊維が0.45gしか含まれていないなどいった話はただの「事実」です。でも、食べたい方は自分でOKと決めた分だけ美味しくいただけばいいじゃないですか♪
人生にはある意味「無駄」なことも必要なんです。人間の食事はエサではないので、体のために必要なもの以外はいっさい食べてはいけないというわけではありませんよね。シャトレーゼさんだってローソンさんだって、私たちが楽しく生きていくためには必要よ。
ただし「これは必需品ではないけれど、美味しいから嗜好品として食べているのだ」ということを忘れてしまうと困ったことになりがちです。どうかお忘れなく!
なるほど必需品と言うよりは嗜好品なんですね、嗜好品であれば、その人が食べても大丈夫な範囲で楽しめばいいですよね。
そうね、そしてあなたに食べる自由があるのと同じで他の人の「食べない自由」も尊重しましょう♪