糖質制限ダイエットをすると耐糖能が悪化する?
糖質制限ダイエットを行うと、たまたま糖質をたくさん食べたときに血糖値が上がりやすくなるのではないかと心配なさる方は多いです。
つまり、糖尿病ではない方が糖質制限ダイエットによって糖尿病になったり、もともと糖尿病だった方が悪化するのではないか?という懸念ですね。
普段きっちり糖質制限している人が久しぶりに普通に糖質を大量に食べると、血糖値が上がりやすくなるということは確かにあるようです。
でも、この現象が何を意味するんでしょうか?そしてそのことは「糖尿病になる」または「糖尿病が悪化した」ことを本当に意味しているのでしょうか?
普段糖質をたっぷり食べないと糖尿病になってしまうというのなら、農耕が開始される前のヒトのご先祖たちはみんな糖尿病だらけだったのでしょうかね💦
糖質制限を行っている人がたまに糖質を食べすぎると血糖値が上がりやすいのが本当でも、それは一般的にイメージされる「糖尿病の前段階あるいは糖尿病の悪化という意味での耐糖能悪化」とは違うのでは…?
「耐糖能が悪化する」と言われたら何だか怖くなっちゃうなぁ。
そうでしょ?でもそれって「糖尿病になる」こととは違うんじゃないかしら?
久し振りにお酒を飲むとどうなる?
よっしーは若い頃、人並み(?)にお酒は飲んでいました。なかなか酔わなかったので、「自分はお酒に強いんだ」と思っていました。
ところがその後、息子たちの妊娠・出産・授乳で4年間ほとんどお酒を飲まなかったんです。久しぶりに缶チューハイを飲んだら、半分も飲まないうちに酔ってフラフラになってしまいました。
…これ、久しぶりに飲酒したので、体がアルコールという「毒」に対して準備をしていなかったんですよね。糖質に関しても、同じことが言えるんですよ。
めったに火事が起こらない町と毎日何度も火事が起こる町では、そりゃ前者の消防士さんたちはつい油断してしまっても無理はありませんよね。後者は油断こそしませんが、過労死するかも💦
「糖質制限すると耐糖能が悪化する」というのは、それと同じことでしかないんです。「いつもお酒を飲まないから、すぐ酔ってしまうカラダになってしまったんだぞ!」ってね。
ちなみに、糖質制限ダイエットをしていても、検査前3日間ぐらい気をつければ、耐糖能というものは通常モードに戻るそうです。
日本糖尿病学会も「経口ブドウ糖負荷試験を受ける前3日間は、糖質を合計150g以上摂取すること」を推奨しています。3日間糖質を食べれば、また体は以前のように反応するようになるわけです。
いつも糖質が大量に入ってくると体も「身構え」るので素早く反応しますけど、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞が働きすぎて多数「過労死」してしまうと糖尿病を発症します。
糖質制限でインスリンを分泌できなくなる!?
「糖質制限するとインスリンが全然分泌されないので、インスリンを出す能力が衰えるのでは?」と思う人もいるかもしれませんね。
しかし安心してください。何も食べなくても、インスリンは24時間ちょっとずつ分泌されています。糖質制限ダイエットをしていても、インスリン分泌がなくなるわけではないのです。
何年間も糖質制限ダイエットを続けてインスリン注射や糖尿病の薬をやめることができた人はたくさんいらっしゃいます。境界型糖尿病が完治した例も多数あります。
糖質制限ダイエットで糖尿病が悪化するのなら、むしろ皆さんインスリン注射が必要になっているはずではないでしょうか?
また、主食や砂糖を食べなくても、野菜にもある程度の糖質は含まれています。完全に糖質をゼロにしているわけではありません。ある種のアミノ酸も糖質ほどではありませんがインスリンを分泌させます。
糖質制限ダイエットをしているからといってインスリンがまったく分泌されないということは考えにくいでしょう。必要以上に無駄に出しすぎないようにしているだけですね。
生理的インスリン抵抗性ってなに?
糖尿病患者の大部分は「2型糖尿病」です。2型糖尿病の場合、肥満や遺伝的な体質などにより、インスリンが分泌されていても効きにくい「インスリン抵抗性」の状態になっていることが多いもの。
で、糖質制限を行っていると「末梢のインスリン抵抗性」がアップするそうで、このことを糖尿病の病的なインスリン抵抗性と混同して「糖質制限すると糖尿病になる」と思い込んでしまうようです💦
ドクターシミズこと清水泰行医師によれば、きっちり糖質制限しているときは貴重な血糖を「ブドウ糖しかエネルギーとして使えない部分」に優先的に回すために、その他の部分は脂肪酸やケトン体も使うようになるそうです。
体内でブドウ糖しか使えない部分は脳のグリア細胞や赤血球など、ごくごく限られた部分だけです。脳の中でも思考に関わるニューロンは、ケトン体をエネルギーにできます。
健康体であれば糖質を食べなくても肝臓でアミノ酸やグリセロールなどから「糖新生」で必要な糖を作ることが出来ますし、しかもブドウ糖以外をエネルギーとして使える部分はそっちを使おうとしますので、まったく問題ないわけです。
これは、大量に糖質を摂取することが前提ではない生活だった大昔のご先祖様にとっては「生理的なインスリン抵抗性」であり、糖尿病の「病的なインスリン抵抗性」とはまるで意味が異なるものでしょう?
もちろん、この状態も「いったんこうなってしまったら永久にそのまま」というわけではなく、また糖質を普通に食べるようになれば「解除」されるそうです。
糖質制限を始めてみたものの、やっぱりどうしても糖質が好きで好きで食べたくてたまらなくなってしまった方たちが少しずつ糖質摂取量を増やすと、再び体は以前の状態に戻ります。それが良いことかどうかは個人の判断にお任せするとして…
あなたはどちらがより健康的だと思いますか?
ただ、久しぶりに飲酒すると酔いやすいのと同じで、普段きっちりと糖質制限している人がたまに食べすぎると、血糖値が急激に上がりやすい場合があるのは確かです。
農耕開始前のヒトのご先祖様たちは、たまーに運よく果物を見つけて食べることが出来ても、現代の遺伝子組み換えで人工的に甘くした果物や白米などとは違い、血糖値が上がると言ってもタカが知れていたと思われます。
ところが困ったことに、現代の生活では「普段は頑張って糖質制限しているけど、週1回ぐらいキレてドカ食いしてしまう」という事もあり得ます。そうなると大変ですよね💦
そうならないためには、ひたすら「我慢する」のではなく糖質への異常な執着そのものを断ち切る心がけが大事になってきます。そして、どんな時でも羽目を外しすぎないように気を付けましょう。
お酒に例えて考えてみてください。「たまに飲酒した時すぐに酔ってしまわないようにするために毎日適量のお酒を飲んで肝臓をアルコールに慣れさせる」のと「肝臓を守るためになるべくお酒を飲まないようにする」どちらがより健康的だと思いますか?
糖質をたくさん食べたい方はどうぞ食べてください。ただそれは「体にどうしても必要だから」というよりは、美味しいから、食べたいから食べているのだと考えたほうがいいかもしれませんね。
なるほど、そうやって考えてみれば、自分がどうするべきか分かるよな!
まぁどうするかは自分次第だけどね♪よく考えましょうね。
♪よろしければ併せてお読み下さい♪
→「糖質制限は危険!」と言われて不安になった方のための過去記事まとめ(クリックで記事へ)