ケトン体を増やすMCTオイル
糖質制限ダイエットを行っている人たちの間で有名なのが、MCTオイルです。
これは中鎖脂肪酸100%のオイルで、体内に蓄積されにくく、エネルギーとして使用されやすいため、一般的な油よりも太りにくいとされています。さらに「ケトン体」の生成を促すことから、糖質制限ダイエットにはもってこいの油というわけです。
ちなみに、ココナッツオイルにはこの中鎖脂肪酸が70%ぐらい含まれています。
食事から糖質をたくさん摂取しているときはエネルギーとして糖質が多く使われますが、就寝時や糖質制限ダイエット中などの状況では、血糖値を維持するだけの糖が不足します。
このときに肝臓は脂質や乳酸やアミノ酸から「糖新生」を行って糖を作り出したり、中性脂肪を分解してケトン体や糖を作り出しています。
アミノ酸が使われると言っても、たんぱく質の摂取量が十分であれば筋肉が減ることはありません。
ケトン体は、脳をはじめとした体の大部分がエネルギーとして利用できることが分かっています。
ブドウ糖よりもケトン体をエネルギーにしたほうが、てんかん発作が起こりにくいことがわかっており、このことを利用して、薬でもなかなか発作を抑制できない難治性てんかんのお子さんの治療として、ケトン体を体内で増やすような食事療法が治療として行われています。
これをダイエット目的に応用しようというわけです。
血中ケトン体濃度を上げるのが目的ではない
MCTオイルを摂取すると確かにケトン体は増えやすくなります。
しかし、てんかんなどの治療目的の場合は血中ケトン濃度を上げることが目標なのでそれでいいとしても、ダイエット目的の場合はそうではありません。
いくら血中にケトン体が増えても、それは自分の体脂肪からできたケトン体でなければダイエット効果はないですよね…
自分の体脂肪をどんどんケトン体に変えて燃やしてしまうからこそ、痩せるのですから。
いつも大量に糖質を摂取している人は、体脂肪をケトン体に変える反応がスムーズに行えない場合があります。
管理栄養士の麻生れいみ先生の言葉をお借りすれば「ケトン体回路がサビついた状態」ですね。
このときにMCTオイルやココナッツオイルを利用して、「サビついたケトン体回路をスムーズに回してやる」ことは効果的ですが、いったん回路がスムーズに回り出したら、あとは自分自身の体脂肪を燃やしてやればいいんです。
最初だけMCTオイルを投入してみる
MCTオイルを大量に摂取しすぎていれば、たとえ血中ケトン体がどんなに高値でも、いつまでたっても余分な体脂肪は減りません。
極端に肥満していた人はある程度までは痩せるでしょうけど、「まだまだ痩せられるはずなのにこれ以上落ちなくなってしまった」ということになりがちです。
そういうわけで、ダイエット目的で糖質制限を行う方は、最初だけMCTオイルを使用するのがいいでしょう。
いったん痩せ始めたら、あとは脂質の過剰摂取に気をつけましょう。
必須脂肪酸は適量必要ですが、なんでもかんでも油をたくさん摂ると痩せません。
糖質を摂りすぎると、体脂肪がケトン体に変わる反応はいったんストップしてしまいます。
たまの息抜きには、気を付けてくださいね。