肉や魚に含まれる脂肪酸が脳の構成成分となる
大和薬品様のHPに、興味深い記事が掲載されていました。ヒトの脳はかつてチンパンジーと同じ程度の容積しかありませんでしたが、これが3倍以上に増えたのは肉食のおかげだと言うのです。
チンパンジーの脳容積は400cc程度で、現代人の成人男性の脳容積の平均は約1350ccだそうですよ。チンパンジーは、人間の3歳児程度の知能を持つと言われていますよね。
水分を除けば、脳の50~60%は脂質から構成されています。このうち約3分の1はアラキドン酸やドコサヘキサエン酸のような多価不飽和脂肪酸です。
アラキドン酸は体内で合成できず、ドコサヘキサエン酸(DHA)は体内でも合成できますが、その効率は極めて悪いんだそうです。
したがって脳の成長に必要なアラキドン酸とドコサヘキサエン酸は食事から摂取しなければなりません。
「脳の栄養=ブドウ糖」というイメージがあるかもしれませんが、ブドウ糖を多く摂取することはむしろ脳にはマイナスです。血糖値が高い糖尿病患者は健常者よりも認知症になりやすいことがはっきりしています。
アラキドン酸は肉、ドコサヘキサエン酸は魚の脂に多く含まれています。植物性食品にはこれらはわずかしか含まれていません。
肉や魚の摂取量が足りないと、脳の発達に重要なこれらの脂肪酸の摂取量が不足する可能性があるんですよね。…幼少時にもっと肉を食べていたら、よっしーももうちょっと頭が良くなったのかしら💦
オランウータン、ゴリラ、チンパンジーなどは今でも植物性食品をメインに食べています。ヒトも大昔は彼らと同じようなものを食べていましたが、氷河期に食生活が変化し、動物性食品の摂取割合が増えたそうです。
もし当時、気候の変化がなく野菜や果物が豊富に存在していたのなら、ヒトもチンパンジーと同じような生活を今でも続けていたかもしれませんね。
ヒトのご先祖様はある意味「仕方なく肉食を始めた」のかもしれませんが、偶然とも言えるそのことが脳を大きく発達させました。
へぇー肉や魚に含まれる脂肪酸が脳の材料になるのか…
必須脂肪酸は体内で合成できないから必ず食事として摂取しなければいけないのよね。
現代人の脳は小さくなりつつある!?
地域によりますが、農耕が始まってから成人の平均身長は低くなっていると言われています。確かに日本人の場合、縄文時代よりも江戸時代の平均身長のほうが低かったですね。
戦後「食生活の欧米化」により急速に身長は伸びましたが、最近では伸び悩んでいるそうです。
そして、現代人の脳容積は、かつて存在した人類「ネアンデルタール人」よりも10%程度小さいことが明らかになっています。
その理由としてタンパク質や不飽和脂肪酸の摂取量の減少が指摘されています。農耕によって穀物が豊富になり、糖質が増えた分、肉や脂肪の摂取量が相対的に減ったからではないかと考えられるようですよ。
脳の材料を十分に摂取せず、脳の材料ではないものばかりたくさん食べているわけですからね。脳はブドウ糖をエネルギーにしますが、ブドウ糖が脳を形成しているわけではありませんし、糖質制限ダイエット中でも健康体なら肝臓や腎臓で糖新生が行われて低血糖にはならないので、脳のエネルギーが不足することもあり得ません。
違う種類の動物同士で比較した場合、脳の容積と知能指数は単純に比例するわけではありません。しかし、ヒトの脳がだんだん小さくなっているというのは…これを「進化」と捉えるべきか、それとも「退化」なのでしょうか?
他のどの動物たちよりも健康に気を使っているはずのヒトは、どの動物よりも病気になります。決して、現代人がものすごく賢いとは言えないのかもしれません…
脳は完成してしまうのではないの?
子供がある程度の年齢になると、脳が完成してしまうと言われますよね。よっしーは「成長期までの子供には脳の栄養は重要だと思うけど、完成しちゃったらその後はもう何を食べても関係ないんじゃないの?」とひそかに疑問に思っていました。
それで調べてみると…アメリカの研究によると、大人のサルの脳でも一部、新しい脳細胞が生まれる部分があったそうです。
また東北大学の研究で、通常は胎児期に多く作られる脳のニューロンが成人の脳内でも新たに生み出されるメカニズムが解明されたそうです。
ヒトとサルの脳が全く同じとは思いませんので、「そうかヒトの脳もそうなんだ!」と鵜呑みにすることは出来ませんが、少なくともネズミよりはヒトの脳に近いでしょうね。
「もう大人だから、脳にいいアラキドン酸やドコサヘキサエン酸を摂取しても意味がないんだ…」と諦める必要はないかもしれませんよ。少なくとも、これらをしっかりと摂取して悪いことは何もないと思います。
ヒトは完全な草食動物にはなれません
草食動物は、肉を食べなくても大丈夫です。彼らは草しか食べなくても、体内に飼っている微生物がタンパク質を合成してくれるんです。
ただし効率はそれほど良くないみたいで、牛はあの巨体を維持するために1日中ヒマさえあれば草を食べ続けているみたいですけどね。
残念ながらヒトには、体内でどうしても必要なタンパク質や脂質のうち食事から摂取しなければいけないものが何種類か存在します。すべて体内で合成できれば便利だったんですけど…
ただ宗教その他の理由で肉食をしない方たちもいらっしゃいますし、そういう個人の価値観は否定してはいけないものであると思います…他に押し付けることさえなければ。
タンパク質や脂質を多く含む食品がヒトの体、とりわけ乳児~成長期の子供にとっては重要なものであることは間違いないんですけど、さまざまな理由でそういう食品の摂取が難しい場合もありますよね。
しかし、かつては他のサルたちと同じように植物性食品を食べて生活していたヒトのご先祖様がある時肉食を始めて知能が高くなったことは事実です。
ヒトの巨大な脳の発達のためには肉や魚に多く含まれる脂肪酸が絶対に必要であることを考えると、まずお子さんに何を優先して食べさせるべきかが分かるでしょう。
必須脂肪酸は体内で合成できないから、妊娠中のママも肉や魚をしっかり食べるべきだな。
そうよ、カロリーの辻褄を合わせることばかり考えていては大切な栄養が不足してしまうんだから。