鉄が足りないと糖質しかエネルギーにできない?
「糖質」「タンパク質」「脂質」は3大栄養素と呼ばれ、私たちの体内でエネルギーとなります。とはいえ、食べたらそのままの形で体内で使われるわけではありません。
さまざまな過程を経てATP(アデノシン三リン酸)というものが体内で作られ、細胞はATPを利用しています。ATPは体内でエネルギーと交換できる通貨のようなものです。
細胞の中にある「ミトコンドリア」はいわば発電所のようなもので、ここで効率よくATPができます。
ところがミトコンドリアでATPが作られるためには、じつにいろいろなモノが必要だったりするんです。
糖質・タンパク質・脂質がミトコンドリアで使われる際にまずアセチルCoAというものになるのですが、その際に各種ビタミンB群が必要になります。
そしてミトコンドリア内でアセチルCoAはクエン酸回路と呼ばれる代謝経路に入り、いろいろと変化しながら効率よくATPが生み出されます。
この途中で必要になる酵素に、鉄を材料として作られているものがあるのです。だから鉄分が不足している状態ではうまくエネルギーを得ることが出来ないのです💦
鉄が酵素の材料になっているのか~。鉄分不足は困るよな。
日本の若い女性には鉄分不足の人が多いから気を付けないとね。
鉄分不足だと体はどうやってATPを得る?
ミトコンドリア内でクエン酸回路からATPを得る方法は非常に効率が良い方法なのですが、途中でビタミンB群や鉄分が不足しているとこれがうまくいきません。
また脂質をエネルギーとして使おうとしても、ラム肉や牛肉に含まれる「L-カルニチン」が無いと長鎖脂肪酸はミトコンドリア内に入ることが出来ません(MCTオイルやココナッツオイルの中鎖脂肪酸はL-カルニチンがなくても入れます)。
ミトコンドリアで効率よくATPを作れないとなれば、体は仕方なく効率の良くない「解糖」という方法を取ります。
解糖は、ブドウ糖をピルビン酸、乳酸に分解してATPを得る原始的な方法です。ビタミンB群や鉄分などがきちんとあれば、ピルビン酸はアセチルCoAとなってクエン酸回路に入れるのですが…
体が解糖ばかりに傾くと、乳酸が多く作られることで体が酸性に傾きやすくなることや疲労が起こりやすくなってしまいます。
3大栄養素がミトコンドリア内でクエン酸回路に入りATPを作り出すためには多くのビタミンや鉄が必要なのですが、解糖にもナイアシン(ビタミンB3)が必要です。
ナイアシンは体内でトリプトファンという必須アミノ酸からも合成できますが、現代の生活では何かと不足しがちです。たとえばナイアシンは飲酒により大量に消費されます。
ナイアシンは他にも脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復や合成など重要な働きを持ちます。またナイアシンの材料となるトリプトファンはセロトニンなどの神経伝達物質の材料でもあります。
セロトニンは睡眠ホルモン・メラトニンの材料になるので、解糖ばかり盛んになると夜寝つきが悪くなったり精神的に不安定になる危険性も!
ミトコンドリアでじゃんじゃん体脂肪を使いましょう!
漫画では、ミトコンドリアでのATP産生を車に、解糖を三輪車に例えてみました。車に乗るためにはいろいろな条件を満たさなければいけませんが、その代わりとてもパワフルです。
いっぽう三輪車は何も持っていなくても(実際はナイアシンは必要ですが…)誰でも乗れる代わりにとても効率が悪く、こぎ続けると疲れてしまいます💦
ビタミンB群や鉄分、L-カルニチンなどが不足して解糖ばかりに傾くと解糖の材料となる糖質が欲しくてたまらなくなる上、体調不良が起こりがちです。
せっかく糖質制限ダイエットをして体脂肪を使いたくても、体脂肪をエネルギー源として使えずに糖質ばかり欲しくてたまらなくなるようでは困りますよね。
おすすめは、ビタミンB群やビタミンC、鉄分、L-カルニチンなど必要なものが不足しないように必要に応じてサプリメントで補うことです。
三輪車は誰でも手軽に乗れるのが魅力ですが、たとえ乗るためにいろいろなものが必要だとしても快適に速く走れる車で行きたいものですね♪
ミトコンドリアで効率よくATPを作れるようにしないとね!
そうよ、そのために不足しているモノがあれば足してあげましょう!