150万年前のヒトは、狩りをして日常的に肉食を行っていた
以前にも当ブログで紹介させていただいたことがありますが、NHKスペシャルで『人類誕生』というとーっても面白く素晴らしい番組を全3回で放送していました。
さて、録画した放送をじっくり見返してみましたが、現代の糖質制限ダイエットにも通じるとても興味深い内容があったのでご紹介しますね。
ヒトの遠いご先祖様は、最初は他のサルたちと同じように植物性の食べ物を主に食べていたそうです。
でも氷河期に入り気候が変化して森が減ると、ご先祖さまたちは草原に出るようになりました。手に棒きれを持ってハイエナたちを追い払い、その獲物を横取りして骨髄を食べていたそうです。
そして約150万年前のホモ・エレクトスは積極的に狩りを行い、日常的に鳥やいろいろな動物の肉を食べていた痕跡が残っているそうです。
番組によれば、ホモ・エレクトスは最大で身長が180cmと長身で、この時代に脳が急速に発達し、体が弱った仲間を介護するなど思いやりの心が生まれたと考えられるそうです。
約1万年前に地球の気候がまた温暖になり農耕と牧畜が始まるまでは、ずっとこのような食生活が続けられてきたのです。
へぇー150万年も前!?あまりにも遠い昔過ぎてちょっと想像がつかないや。
当時はお米もパンもお菓子もジュースもないでしょ?みんな、肉と葉っぱ、時々木の実みたいな食事をしていたんじゃないかしらね。
ホモ・エレクトスと現代のホモ・サピエンスは別物?
番組内でははっきりと「肉食が脳を大きく発達させ、思いやりの心が生まれた」とナレーションされていました。
脳の組織の50~60%は脂質でして、さらにそのうち約1/3は体内で合成できない種類の脂肪酸(必須脂肪酸)です。これらは青魚や肉を十分に摂取していないと足りないそうです。
現在でもチンパンジーやゴリラ、ニホンザル、オランウータンなどは植物寄りの雑食で、果物や葉っぱなどを好んで食べます。
かつてヒトのご先祖様はたまたま草原に出て肉食をするようになったので、彼らとは大きな「差」がついたのかもしれませんね。
「で、でもっ!!ホモ・エレクトスは私たちホモ・サピエンスとはまったく遺伝子が同じわけじゃないだろう!」とおっしゃる方もいるかもしれません。
確かにホモ・エレクトスはアフリカで私たちの直接のご先祖と分かれたと考えられています。でも、少なくともよく引き合いに出されるウサギさんやネズミさんよりはよっぽど私たちと近いと思いませんか?
昔からまことしやかに語られてきた「日本人は穀物食に適応してきたために腸が長い」という話は実は間違いだったことがすでに判明しています。
それに日本人は腸が長いから胴が長いという話に関しても、あれは身長に占める胴の長さの相対的な割合が大きいだけであり、日本人の胴の長さが欧米人と比べて長いわけではありませんよね。
成長期に子供の身長が伸びるのは骨の長さが伸びるからですが、骨のメインの材料はタンパク質なので、タンパク質不足では手足の長さがイマイチ伸びきらない…つまり短足で背が低い大人になります。
日本人は昔と比べると脚が長くなってスタイルが良くなったと言われますが、これって食生活の欧米化により肉を食べる量が増えたせいじゃないですか?遺伝子は短期間では変化しません。
肉食や糖質制限は本当に体に悪いのでしょうか?
「日本人は昔からお米を食べてきたじゃないか」と言われますが、「農耕が始まるよりもっと昔の日本人はお米を食べていなかったじゃないか」と言わなければいけません。
肉食や糖質制限がヒトの健康に非常に有害であれば、ご先祖様は生き延びることができずにとっくに全滅してしまったことでしょう。
コンビニも自動販売機も粉ミルクもない大昔の日本で、ご先祖様たちは肉や魚や葉っぱや木の実を食べ、秋には果物(品種改良されていない自然な甘み!)を食べ、それできちんと子供を産み育ててきました。
「人間に近い動物であるサルの仲間には植物性のエサを食べるものが多い、だから人間も植物性のエサを食べるべきだ」という意見も見かけたことがあります。
でも…人間は偶然とはいえ肉食を始めたからこそ、彼らよりもずっと高い知能を手に入れることができたのではありませんか?あの時ご先祖様が木を降りなかったら、ずっとサルのままだったかも。
またサルたちが食べる果物は、品種改良されてうんと甘くなってしまいました。大昔の野生のサルたちが食べていたものとは違います。
サルにバナナを与えるのをやめて野菜中心にしたら、暴れることがなくなって穏やかになったという動物園があります。人間も人工的に甘くしすぎた果物ばかり食べるのは危険では?
肉をたくさん食べる動物はたくさんいますが、お米やパンと一緒に肉を大量に食べる野生動物はおそらくいないでしょう。人間の残飯を漁る野良犬や野良猫ぐらいでしょうか。
ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉には確かにいろいろなものが入っているので控えめにした方がいいのではないかと思います。
しかし肉そのものをゆでたり焼いて塩コショウで食べたりするのであれば、大量の糖質と一緒に食べない限りそこまで健康に良くないとは思えないのです。もっと気にすべきことがあるのではないでしょうか。
約150万年前のホモ・エレクトスは狩りを行って肉食をすることによって脳が急激に発達し、病気やけがをした仲間を思いやる心を持ちました。
せっかくヒトが獲得した高い知能を正しく生かして、病気にならずにヒトが健康に暮らすためにはどうしたらいいのかを考える時期に来ていると思います。
ヒトのご先祖様がかつて食べていた食事に近いのが糖質制限食というわけだな。
そうね。それなのに危険危険って…自分で良く考えなければいけないわ。