糖質制限するかどうかは個人の自由だけど…
ここ数年で糖質制限ダイエットに興味を持つ方はかなり増えてきましたけど、継続していくのはかなり難しいようです。
実は昨日も、糖質制限ダイエットを頑張ってみたけどどうしてもアイスやお菓子が食べたくて諦めてしまったという知人の話を聞いたばかり。
その方は若くて糖尿病ではないので、とても辛かったのだと思います。別にいいんじゃないでしょうか。いずれまたその気になったら始めればいいと思います。やるかどうかは個人の自由ですからね。
ただ、糖質制限ダイエットをやるかどうかは個人の自由なんですけど、自分がやりたくないor挫折してしまったからといって、医学的に根拠のない「間違った糖質制限批判」をされると困っちゃいますよね。
「糖質制限ダイエットで筋肉が落ちる」
よっしーも若い頃はこれを信じていたので、筋トレ後にプロテインと糖質を一緒に摂取していましたね…あの頃はとにかく筋肉をつけたかったです。筋肉を増やせば血糖を消費してくれるので糖尿病にはならないだろうと思っていたので。
でも、糖質制限を始めても筋肉量は全く減っていません。常に同年代の女性の平均よりも筋量は多いほうです。
カン違いしている方が多いですが、糖質を摂取しないからといって体中の筋肉がどんどん分解されて減っていくわけではありません。
糖質を大量に摂取したとしても、筋肉は毎日少しずつ新しいものと入れ替わっています。アミノ酸プールという仕組みがあるんですね、下の図は理研様のサイトからお借りしました。
糖質制限ダイエット中はアミノ酸の一部が糖新生に使われますので、通常よりもタンパク質を多めに摂取しないと確かに筋肉は減っていくかもしれません。
しかし、必要なタンパク質が摂取できていれば何も問題はありませんし、ご飯やパンばかり食べている人は糖質制限をしなくてもタンパク質不足から筋肉は減ります。
「いや、糖質を大量に摂取してインスリンを分泌させることが筋肉の成長を促すのだ!」とおっしゃるマッチョな方たちもいらっしゃるでしょうけど、少なくともよっしーを始め、多くの女性たちはそこまでゴリマッチョになりたいと思っていないでしょう。
手っ取り早くゴリマッチョになるためには、糖質を大量摂取したほうが早いという話は確かに聞きます。でもそれは、健康のために行うことではないのではありませんかね?
ちなみに、糖質制限ダイエットを取り入れて成功しているボディビルダーの方たちもいらっしゃいます。糖質を大量摂取しないと筋肉が落ちるのであれば、彼らは絶対にやるはずがないと思うのですが…
正しい糖質制限ダイエットであれば、筋肉がどんどん落ちてしまうことは少なくともありません。それで十分だと私は思いますね。
「脳の唯一のエネルギーはブドウ糖だ」
いまだにこのような明らかに間違ったことが書かれているサイトがしばしば存在しますが、いったい何年前からアップデートされていないんだよっ!!
脳はブドウ糖を利用しますが、ケトン体も利用できることはとっくに明らかです。このことを利用して、ケトン食で抗てんかん薬でも発作を抑制できない難治性てんかんのお子さんの発作を減らせたり、認知症の患者さんの改善が見られたりしています。
健康体であれば、糖質制限ダイエットを実践しても低血糖になりません。低血糖にならないということは、普通に糖質を摂取している方と同じように脳に必要なブドウ糖はちゃんと届いているので、何ら問題はありません。
何の問題もないばかりか、非常時にはケトン体もエネルギーとして利用できるので二重の安全というわけです。普段ケトン体をエネルギーとして利用していない方は、いざと言う時なかなかスムーズにいきません。
またドクターシミズこと清水康行医師のブログによれば、いつも糖質を過剰に摂取していて高血糖&高インスリン状態になっていると、脳はブドウ糖もケトン体もうまく利用できないそうです。
糖尿病患者は認知症になりやすいと言われますが、そういうことなのでしょうね。
脳がブドウ糖をエネルギーにするからと言って糖質ばかリせっせと摂取していると「血液の中にはブドウ糖が山ほどあるのに、脳がそれをエネルギーとして利用できない最悪の状態」になってしまいますよ!
「糖質制限で体重が減るのは水分が抜けるだけ」
確かに、糖質制限を開始した直後にドサッと体重が減るのは、水分が抜けたことが原因かもしれません。糖質は体内で、水分と一緒に存在するからです。
よっしーの友達で普段は糖質制限をきっちり行っているのに、職場の行事で仕方なく大量に糖質を食べたら急に体重が2kgも増えたといって驚いた人がいましたが、むくみでしょうね。
しかし2~3kgならともかく、中には10kg20kgと痩せることに成功した方たちもいるのに、これがすべて水分の減少によるものだと言い張るにはあまりにも無理があります。
「い、いや、水分だけではなく筋肉も減っているに違いない!」とおっしゃる方は、上の「糖質制限ダイエットで筋肉が落ちる」という項をもう1度読み直してください。
仮に体重60kgで体脂肪率30%だった女性が10kg痩せ、その減った内訳が水分3kgで筋肉7kgだったと仮定します。するとダイエット後の体脂肪率は36%となります。
…実際にそんなこと、ありますかね?さすがに、水分と筋肉しか減っていないという主張には無理があるのではないでしょうか。
「極端な糖質制限で月経トラブルを招く」
これが書かれていたサイトにはまったく根拠が示されていなかったので、いったいどういうことなのかさっぱり分かりませんでした。
むしろ、糖質制限ダイエットによって月経不順が改善する方のほうが多いのではありませんか?よっしーは糖尿病の女性にありがちな月経不順が改善して完全に正常な周期に戻りました。
また、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)という病気があります。この病気は妊娠可能な年齢の日本人女性の6~10%が持っていると言われており、排卵がスムーズに行かず、妊娠しにくい原因となります。
PCOSがある女性はインスリンの働きが悪くなっており、そのままだと将来糖尿病になりやすいそうです。そのため糖尿病薬のメトホルミンが治療として使われています。
糖質制限ダイエットでPCOSが改善した方は多く、なかなか妊娠しなくて悩んでいる患者さんに糖質制限を指導しているクリニックもいくつもあります。
このように、むしろ正しい糖質制限ダイエットでは月経不順が改善すると考えられます。ただし、早く痩せたいからと言って全体的に食べる量を減らしすぎて急激に痩せすぎたり、甘いものを食べたくてたまらないという過度の欲求がストレスとなって月経不順の原因になることはあり得ます。
どうか、正しいダイエットを行ってください。甘いものを食べるのが生きがいだという方は、無理をせず、出来る範囲で少しずつ取り組むことが大事です。
「糖質制限で体重が減っても内臓脂肪が増加する」
糖質制限ダイエットでは高カロリーの高脂肪食を食べることになるので、たとえ体重が減ってもかえって内臓脂肪が増えるかもしれない…と書かれているサイトがありました。
体重が減って、なおかつ体脂肪が増えるという状況は、筋肉量が減っている&摂取カロリーが大幅にオーバーしている状況しか考えられません。
こういう事態があり得るとしたら、肉や卵や魚などのタンパク質食品を食べずにひたすら1日中バターを何キロも食べたり油をコップでがぶ飲みするような状況でしょうか!?
それは正しい糖質制限ダイエットとは言い難い食事ですね。脂質だけで太るためには、かなりの努力が必要だと思います。体質によっては、相当頑張って食べても下痢をするだけで終わるかも。
むしろ1日中おにぎりやパンばかり食べているほうが「タンパク不足+カロリーオーバー」という状況になりやすいのではないでしょうか。カロリーが同じであれば、脂質単独よりも糖質のほうが太りやすいです。
正しい糖質制限ダイエットは、ご飯などの主食を減らす代わりに、タンパク質のおかずを1~2品増やすイメージです。正しい糖質制限ダイエットが出来ていれば、筋肉がどんどん減って体脂肪がどんどん増えていくようなことは起こり得ないと思います。
「お米を食べても痩せられるので糖質制限は不要だ」
確かに、お米を食べていても痩せることは可能です。若い頃のよっしーがそうでしたから…でも、痩せても2型糖尿病を発症しましたけどね。
ただ痩せるだけなら、摂取カロリーを減らせばいいんです。極端に言えば、食事の代わりにお菓子を食べていてもカロリーさえ少なければ痩せるでしょうね。健康的かどうかは別として。
しかし、糖質制限ダイエットはただ痩せることだけを目的にしているわけではありません。痩せるだけなら他にいくらでも方法はありますが、血糖値をムダに上げないこと・インスリンをムダに分泌させないこと・体内で糖化を進行させないことなど、多数の利点があるんです。
痩せていれば糖尿病などの生活習慣病とは無縁だと思い込んでいる方もいますが、とんでもないことです。欧米の糖尿病患者の平均BMIは30を超えていますが、日本人糖尿病患者はBMI25以下の方が半数を占めるのです。
糖質制限ダイエットはただ痩せるだけの目的ではなく健康のために行っている方もすごく多いのに、「糖質を食べても痩せられるから!」とダイエットだけの話になってしまうことが多いのは残念ですね~。
「お米の消費量が減っているからお米を食べなければいけない」
よっしーの友人にも、実家がお米農家なので糖質制限したくてもできない…という方はいます。確かに、難しい問題だとは思います。日本でまともに自給できているのはお米ぐらいのものですし。
ただ、その問題と健康の問題は分けて考えなければいけないと思います。いくら「日本と言う国のために」と言っても、自分が健康を害してしまったら意味が無いと思うんです。
よっしーは長年、お米が好きでしっかりと食べてきました。しかし糖尿病を発症し、このままだと目が見えなくなるかもしれない…という恐怖まで味わいました。
今はもう「お国のために自分の命まで犠牲にしなければならない」という時代ではありません、日本では。まず、自分と家族の健康を第一に考えていいと思いますし、自分がお金を払って食べるものは自由に選択する権利があるはずです。
ただ、お米農家の方や製糖関係、お菓子屋さんなど、糖質と関連の深い職業の方たちの今後をどうするか…という問題については、考えていかなければいけないと思います。それと個人の健康はまったく別の問題です。
これらの仕事をなさっている方たちも、いずれ糖尿病を発症して糖質について深く考えなければいけない時が来ると思います。ご自身が糖尿病になったために、糖質オフなスイーツを販売するようになった方たちもいらっしゃいます。
国内の食料生産や自給率の問題と国民の健康をどうやって両立していくかは、とても難しい問題だと思います。でも、だからこそ、頭がいい偉い方たちに頑張っていただきたいと思いますね♪
まとめ:根拠のない糖質制限批判を気にしてはいけません
ネット上には、誰がどういう根拠を元にして書いているんだか分からない糖質制限批判記事が山のように存在します。
単純に思い込みで書いている方もいらっしゃるでしょうし、中には何らかの意図をもってあえて書いている方もいらっしゃることでしょう。いちいち振り回されてはいけません。
糖質制限ダイエットはたくさんあるダイエット方法のひとつにすぎませんので、選ぶかどうかは個人の自由。ただ、明らかに間違った糖質制限批判は困ると思ったので、今回の記事を書いてみました。