ケトン産生食っていったい何?子供には危険って?
先日、管理栄養士の麻生れいみ先生のこんなツイートがふと目に留まったのです。麻生れいみ先生は糖質制限で1年間で20kgのダイエットに成功した経験をお持ちの先生です♪
あわてんぼさんはこのツイートだけを見て「そうか、成長期の子供は絶対に糖質制限をしてはいけないんだな」と誤解されるかもしれません。
【ジュニアサッカー、青少年スポーツなどで、ケトン体回路をスポーツに使いたいとお考えの方へ】ケトン産生食は小児てんかんの食事療法でつかわれますが、長期的には低身長、体重増加不良、腎結石、微量元素欠乏による心不全なども稀に報告があります。現時点では、成長期はおすすめできません。
— 管理栄養士 麻生れいみ (@dietitian_reimi) 2018年6月11日
でも、れいみ先生がここでおっしゃっている「小児てんかんの食事療法で使われるケトン産生食」というのは、いわゆる私たちが思っている糖質制限食とはちょっと違います。
これは「古典的ケトン食」と呼ばれる食事であり、難治性てんかん(抗てんかん薬を何種類か試してもなかなか発作がおさまらない難治のてんかん)の発作を減らすために考えられたものです。
今回は「古典的ケトン食」と「糖質制限食」の違いについて、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います♪
古典的ケトン食とはどういうものなの?
まずは「てんかん」という病気についてお話しますね。脳には微弱な電流が流れており、脳波としてこれを記録することができます。
ところが、何らかの原因によって脳のどこかで異常放電が起きると、てんかん発作(意識を失ってけいれんすることもあれば、しばらくボーッとフリーズするようなものも)が起こります。
てんかんには様々な種類があり、子供の頃に発症しても大人になると自然に治ってしまうものからずっと発作を起こりにくくする薬が必要なもの、薬を飲んでもなかなか発作が止まらないものまであります。
じつは、よっしーの元同級生は成人してからてんかんを発症し、ずーっと薬を何種類も飲み続けているんだそうです。幸い、発作はずっと止まっているそうです。
しかし抗てんかん薬には重大な副作用が出ることもあるそうですし、数種類の抗てんかん薬を飲んでも発作が止まらない方もいらっしゃるのです。
そこで大きなチカラを発揮するのがケトン食です。食事の糖質を減らして脂質をうんと増やすと、非常にケトン体が増えやすくなります。
血中ケトン体が多くなると、てんかん発作が起こりにくくなるんですって!日本では2016年にケトン食がてんかんの治療食として保険適用になりました。
上の表はいろいろな種類のケトン食です、表はメディカルトリビューン様のサイトからお借りしました。
最近ではMCTオイルなどを利用してケトン体が出やすくなるようにしたケトン食もありますけど、以前から用いられてきたいわゆる「古典的ケトン食」ではタンパク質もかなり厳しく制限されていることが分かりますね。
よっしーはタンパク質をたくさん食べてもケトン体が出ますけど、一般的にはタンパク質の割合が多いとケトン体が出にくくなるので、タンパク質を制限して脂質の割合を増やすようですね。
成長期にはタンパク質がたくさん必要になると言われているのに、普通の子の約1/3しかタンパク質を摂取してはいけない…これでは副作用として成長障害がみられるのも納得です。
健康な成長期の子供の糖質制限はどうすればいいの?
難治性てんかんや小児がん、その他何らかの病気の治療目的で血中ケトン体をとにかく増やさなければいけないお子さんはある程度の副作用が起こることを考えてもケトン体を増やすことを優先しなければいけない場合もあります。
しかし、病気の治療が目的ではない成長期のお子さんが成績UPや健康のために糖質制限を行う場合はどうでしょうか?
よっしーの息子たちは、糖質には気を付けていますが肉などのおかずは食べたいだけ食べています。特に成長期真っ盛りの長男は、驚くほどたくさん食べます。
昨年は1年間で身長が10cmも伸びましたが、まだまだ声変わりも終わっていませんし、どこまででっかくなるんだろう…と逆に心配になるぐらいです。
長男の体重は標準体重のど真ん中です。小学生の頃、糖質制限を始める前は身長は高いけどヒョロヒョロで痩せていて体力がない感じでしたが、ずいぶん筋肉がついてきました。
小学生の次男はまだ成長期前ですが、きっと中学生になったらこの子もたくさん食べるようになるんだろうなぁ…あぁぁ~食費が…!!
糖質制限は古典的ケトン食と違って、糖質だけ気をつければ後は比較的自由です。糖質控えめの野菜だってしっかり食べますし、特に便秘になったりもしていないようです。
また、意識的に脂質はしっかりと摂取させています。よっしーは糖尿病発症まではキャノーラ油などを使っていましたが、今はバターなどを主に使います。
子供にきちんと食べさせているつもりでもじつはエネルギーが足りていなくて身長や体重の増えが悪い…というのはよくあることじゃないでしょうか?
特に糖質制限の場合は、相当意識しなければエネルギーが足りないです。少食なお子さんの場合はなるべくカロリーの高い肉を使うなどの工夫がいりますね。
バターで肉と野菜を炒めてシンプルな塩コショウで食べると美味しいのです。ただし、バターをご飯の上にぶっかけたりするとたちまち健康に良くないデブの元に変わりますのでご注意を。
糖質をせっせと食べても成績はUPしません
一部の企業のサイトなどにはいまだに「脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖です」と書いてあるため(わざとかな?)せっせと甘いものを食べている受験生もいらっしゃるかも。
でも残念ですが、脳の中でブドウ糖しか使えないのは勉強とは関係のないグリア細胞だけです。ニューロンは乳酸やケトン体を利用してミトコンドリアでエネルギー産生を行います。
よっしーは大学受験の頃このことを知らなくて、「勉強するから脳に栄養が必要♪」と言って毎晩ノンフライのカップ麺を食べてただデブになっただけでした…バカだねぇ。
三島塾では、別に糖尿病などの病気でもなんでもないお子さんたちが成績UPのために糖質制限をなさっているそうです。
ムダに血糖値を上げて眠くなるよりも、糖質を控えて脳に必要な脂質やタンパク質をしっかり食べて集中して勉強しましょうというわけです♪
確かに息子たちは、昔より学校の成績上がってますね。生まれ持った能力の限界はありますが…勉強しなさいと言わなくても自分から勝手にやるようになった感じです。
「お母さん、あんまり三島先生のことを広めると受験のライバルが増えるからやめてくれよ~」って言われそうですけど、どうせほとんどの方は実行しないので大丈夫www
そうそう、次男はスイミングをやっているんですけど、こちらもかなり調子が良いです。最初は全然ダメだったのに…やっぱり食べ物って大事なんですね。
まとめ:目的に応じた食事を♪
難治性てんかんなどの病気でケトン食を行う場合は、主治医の指示に従ってください。最近ではMCTオイルを使用して、わりとタンパク質を多めに摂取してもよいケトン食もありますので相談してみるといいです。
病気のないお子さんの場合は、タンパク質および脂質、ビタミンやミネラルなどはしっかり摂取しましょう。特に成長期は親が考えている以上にたくさん食べさせる必要があります。
いわゆる主食には、ビタミンやミネラルはごく微量しか含まれていません。したがっておかずをきちんと食べていれば糖質制限によって微量元素が不足してどうのこうのということはありません。どうしても不安ならマルチビタミン&ミネラルでも1粒飲ませるといいでしょう。
肉料理やプロテインなど、お子さんが欲しい時に自由に食べられるように常備しておくととても便利ですね。わが家ではiHerbで購入したプロテインチップスが大人気です♪
タンパク質制限をしなくてもケトン体はまったく出ないわけではありません。病気の治療の方は血中ケトン体を増やすことを最優先に、それ以外のお子さんは栄養をしっかり摂取することを優先しましょう。
やっぱり、親である自分が健康のために控えているものを子供には好きなだけ食べさせるっていうのは抵抗がありますもんね。以上、古典的ケトン食と糖質制限食の違いについてでした♪