えっ?もしかしてしばらく地上から離れていた浦島太郎さん??
ごく最近UPされたネットのある健康記事に「炭水化物は人間の脳にとって唯一のエネルギー源です」と書かれていたのを見てびっくりしてしまいました。
糖質制限をするかどうかは個人の自由ですし、中には生まれつきの病気などがあって糖質制限をしてはいけない方たちもいらっしゃいます。
でも、脳が糖質の他にケトン体もエネルギーとして使用できることは明白な事実なのに「炭水化物は人間の脳にとって唯一のエネルギー源です」と明らかに間違ったことをおっしゃるのはいかがなものかと思います。
まさか、しばらく地上から離れていて「脳はケトン体もエネルギーとして使える」ということを本当にご存じない浦島太郎さんではないでしょうね?
このネット記事をお書きになった医師は糖尿病専門医だそうですが、日本糖尿病学会の山田悟医師は「わが国の糖尿病食事療法の現状は、世界の栄養学と比較してガラパゴス化しているのかもしれない」「カロリー制限食には肥満解消効果はあるが、直接的な血糖改善作用がないことが示されている」とおっしゃっていますのに…
脳は確かにブドウ糖をエネルギーとして使います。そして、ある種の病気でなければ糖質を摂取しなくても脂肪などから「糖新生」が行われるので低血糖にはなりません。
低血糖にならないということは、脳には必要なだけの量のブドウ糖がきちんと届けられているということです。その上、非常時にはケトン体をもエネルギーとして使えるのです。どこが問題だと言うのでしょうね?
糖質制限を行うと糖尿病性ケトアシドーシスになるの?
この記事には「糖尿病患者でインスリン分泌が低下している方が糖質制限を行うと糖尿病性ケトアシドーシスを起こす危険性がある」と書かれていました。
しかし、よっしーは3年半前、普通に糖質を摂取していて糖尿病性ケトアシドーシスを起こしました。
入院中に主治医にきちんと了解を得たうえで糖質制限を開始しましたが、その後3年半何の問題もなく過ごしております。主治医は糖尿病専門医で、病院のNSTチームの一員の先生です。
確かに、1型糖尿病でインスリン自己分泌がゼロの方が「糖質制限すればインスリン注射を完全に中止しても良い」と勘違いして自己判断でインスリン注射をやめるとケトアシドーシスを起こすことはあると思います。
↑医療関係者向きに出された本だけど、一般人にもとても分かりやすいです。是非一読を。
糖質制限をすると食事用のインスリンは減らせますけど、1型糖尿病で自己分泌がゼロの場合は完全に注射をゼロにできるわけではないということを勘違いしてはいけないと思いますよ。
なぜなら、ケトン体が増えるだけでは特に何も悪いことは起こりませんが、インスリンの作用が極端に不足している状態では呼吸による調整が出来ずに血液が酸性に偏るからです。
また糖尿病薬の「SGLT2阻害薬」や「メトホルミン」を使用することによってアシドーシス(血液が酸性に偏る危険な状態)が起こりやすくなることがあります。
インスリン自己分泌が保たれている患者が糖質制限することと、普通に糖質を摂取しながら糖尿病薬を使用する糖尿病患者。後者に起こり得るリスクを語らずに前者を危険だと語るのはフェアだとは思えません。
糖質制限で激やせするの、太るの、どっちなの!?
また「糖質制限で短期間に体重を減らすと体は自然と基礎代謝を低下させるため、結果的にやせにくくなります」と言いながら「おかずを食べる量が増えることで塩分や脂肪の摂取量が増加するため、結果的に肥満になるリスクが高くなります」というのはおかしな話です。
糖質制限はおかずを多く食べるのでかえって太りやすいというのなら、糖質制限で急激に痩せすぎてしまう…ということになるわけが無いと思いませんか?どっちでしょwww
確かに、どんなダイエット方法であっても短期間で急激に体重を減らしすぎるのは健康に良くないと思います。
よっしーは大学時代、カロリー制限ダイエットとジム通いを組み合わせて2か月で11キロも体重を落とした経験がありますけど、あれは今思うと体に負担が大きすぎましたね!
おかずを多く食べると塩分の摂取量が増えるのではないか、とは以前管理栄養士さんが同じ内容の記事を書いていらっしゃったと思うのですが、実践したことがない方の想像にすぎません。
実際は「ご飯が進むおかず」とよく言われるように、ご飯を食べるからこそ甘辛い濃い味付けのおかずをどんどん食べることができるのですよ?
よっしー宅では、市販のレシピ通りにおかずを作るとしょっぱいのでもっと薄い味付けにしてくれと夫から言われます。主食を食べないと自然に薄味になりますね。
糖尿病と診断されたとき、よっしーは高血圧でした。なんと血圧は170/100も!!それが現在では毎朝95/65ぐらいです。血圧の薬は一切飲んでおりません。これで十分でしょう?
黄色人種のイヌイットよりも草食動物のマウスに近いんですか?
「マウスを使った実験なので人間に当てはまるかどうかは分かりませんが、糖質制限ダイエットを行うと老化が進み、短命になるとの研究結果が発表されました」と記事には書かれていました。
確かに、大昔から穀物を主食にしてきたマウスには糖質制限は合わないのかもしれませんね。でも、マウスの実験結果をヒトに当てはめようとするのに、同じ黄色人種であるイヌイットの超有名な話は意図的にスルーなさるのでしょうか?
極寒の地に住むイヌイットは私たち日本人と同じ黄色人種で、長いこと伝統的な食生活を守ってきました。
農業に向かない極寒の地の暮らしゆえ、野菜や果物などはほとんど食べず、魚や鳥、動物の生肉を中心に食べていて糖尿病・がん・心臓病などはほとんどなかったそうですよ。
ところが近年になり、彼らは普通にファーストフードなども食べるようになってしまいました。そして、以前は見られなかったこれらの病気が急増しているのだそうです。
草食のネズミを使った実験と、日本人と同じ黄色人種のイヌイットのデータ。あなたはネズミとイヌイット、どちらにより近い体質でどちらを信じたいですか?
糖質制限ダイエットが続かない人が多いのは事実
「炭水化物を食べられない精神的ストレスから糖質制限が長く続かないことが多く、再度炭水化物を摂取するようになるとすぐにリバウンドします」とも書いてありますが、これはそうでしょうね。
糖質制限に限らず、カロリー制限もジム通いもサプリメントも完全にやめて元の生活に戻してしまえば必ずリバウンドするのは同じなのに、なぜ糖質制限だけを批判なさるのかしら。
どんな方法でも、どうしても続かない方はたくさんいらっしゃいます。たとえばタバコは健康には百害あって一利なのは明らかですけど、医師なのに禁煙できない人もいらっしゃいます。
自分が禁煙できないからといって「禁煙できない人がたくさんいると言うことは、禁煙は間違ったことなのだ。禁煙なんて極端なことはしてはいけないんだ!」という方がいたらどう思います?
みんなが禁煙して困る人って、タバコ関連の仕事をしている方たちぐらいでしょう?禁煙がうまくいかないのは禁煙そのものが悪いのではなく、その方個人の問題です。
医師を含めて糖質制限がどうしても続かない人が多いからと言って糖質制限自体を責めても仕方がありません。
それよりも、やりたいのにどうしても上手くいかない人たちをサポートする体制を整えることを考えましょうよ。
まとめ:情報の取捨選択が非常に重要ですね
今回改めて思ったのは、たとえ医師などの専門家と言われる方たちであっても、必ずしも本当のことを言っているとは限らないということです。
だって「脳はケトン体もエネルギーとして使える」なんていうことは医学的にもとっくに明らかになった事実なのに、素人でも知っていることを医師が知らないなんてありえないじゃないですか。
問題は、数ある情報の中から特別な意図を持って紹介された情報を見て「専門家の言うことだからきっと正しいに違いない、どうしよう」と動揺する方がたくさんいらっしゃることです。
糖質制限するかどうかは全く個人の自由ですが、明らかに間違った理論で糖質制限を批判されるのは困ります。何かの団体に所属していらっしゃる方なのかな?と思っちゃいますよ。
よっしーが通っている病院には糖尿病専門医がたくさんいらっしゃいますが、中でも最もベテランの女医さんは自分も軽い糖尿病らしくて、糖質制限について理解を示してくださいました。
どうかみなさんは、いちいち情報に振り回されるのは止めましょう。そして何か疑問に思うことがあったら「ん?ここに書かれていることは本当にそうなのだろうか」と考えるクセを付けていただきたいと思います。