糖質が血管を強くする働きは…無いと思います
さきほどネットの記事に「糖質には血管を強くする働きがあります」という一文を見つけてびっくり仰天しちゃいました。書いた方は医師や管理栄養士ではない方です。
糖質が血管を脆くするという話はいくつも聞いていますが「糖質が血管を強くする」なんて聞いたことがないですね。ソースとなる論文などは一切添えられていませんでした。
糖尿病は、血管がボロボロになっていく病気です。糖尿病患者の血管は健常者の方と比較して老化が進んでいます。
糖質の過剰摂取によって「糖化」が起こります。これは体内で糖とタンパク質が結合する反応です。過剰な糖が血管の壁のタンパク質と結合してくっついてしまうと、どうなるでしょうか?
少しのキズであればコレステロールが一生懸命修復してくれますけど、あまりにも多いと修復しきれずにどんどん血管が傷んでいくのです。
また2型糖尿病患者ではインスリンの効きが悪いので、健常者の2倍も3倍も大量にインスリンを分泌していることがよくあります。外から注射している場合でも同じことです。
インスリンが多すぎると大量に活性酸素が発生し、これが全身の血管の動脈硬化を進行させたり、ある種のガンや認知症のリスクを上げてしまいます。
糖尿病患者は脳血管疾患やガンにかかる確率が明らかに高いのですが、これは高インスリン血症のせいだと考えられています。
インスリンの効きが悪いので大量にインスリンを分泌することが良くないのです。健常者であっても、糖質を摂りすぎると大量のインスリンを分泌することになるので良くないですよね。
血管を強くするのは糖質ではなくタンパク質です
血管を強くするのは糖質ではなくタンパク質です。特に動物性タンパク質には、血圧上昇を抑えたり過剰なコレステロールを排出するタウリンやメチオニンというアミノ酸を多く含みます。
リジンは血管を丈夫にし、アルギニンは血管を広げて血栓を防ぐ働きを持ちます。日本ではかつて脳出血が非常に多かったのですが、戦後「食生活の欧米化」によりかなり減りました。
もっとも、タンパク質不足による脳出血は減りましたが、糖質は相変わらずたっぷり摂取していますので高インスリンによる脳梗塞は増えていますけどね…下のグラフは日本成人病予防協会様のサイトからお借りしました。
肉と野菜だけならまったく問題ないのですが、肉と主食を一緒に摂取するので困ったことが起きるというわけですね。
「ネズミ(草食よりの雑食)に糖質制限させると動脈硬化になったから糖質制限は危険だ!」と言い張る方も多いのですが、みなさん糖質制限ダイエットを始めてから血圧はどうなりましたか?
よっしーは最初高血圧だったのが、糖質制限してから下がってきましたけど…特に減塩を意識しているわけではありません。まぁそういうことです。
血圧が高いことが動脈硬化を進行させるひとつの原因になり、動脈硬化が進行するとますます血圧が上がるという悪循環に陥ります。血圧の高い方はどうか気を付けてくださいね。
ヒトの体はどんなものから構成されているでしょうか?
私たちヒトの体を構成しているものはいったい何でしょうか?下の図はダイエットの科学様のサイトからお借りしました。
男女差や個人差はありますが、まず人体の60%は水分です。そして15~20%がタンパク質、いわゆる筋肉ムキムキの方ほどこの数字は大きくなります。
次いで多いのは脂質で13~20%ほど、女性は男性と比べると妊娠・出産にそなえて体脂肪が多いのでもうちょっと数字は大きくなります。
残念なことに、糖質はたったの1%にすぎません…いざという時すぐ使えるようにグリコーゲンという形で糖が蓄えてあるのですが、これは糖質を経口摂取しなくても肝臓や腎臓でしっかり作ることができるんですね。
タンパク質は、脳、筋肉、内臓、血液、爪、髪、皮膚、骨などを構成する重要な成分であり、毎日少しずつ古い物と新しい物が入れ替わっています。
無知な方は「糖質制限すると筋肉がどんどん減っていく」と勘違いなさっていますが、これが本当ならよっしーはとっくに歩けなくなって死んでいるでしょうね。
十分な量のタンパク質と脂質を日常的に摂取していれば、どんどん筋肉が減っていくということは絶対にありません。
また嫌われがちな脂質はホルモンの材料になりますし、子供の脳の発達にはある種の脂肪酸が欠かせませんよね。まず優先して食べるべきものは、何でしょう?
「ゆるやかな糖質制限」を行う方は気を付けてください
きっちり糖質制限はどうしても無理なので「ゆるやかな糖質制限」を選択する方もいらっしゃいますし、昔は糖質制限していたけどやっぱりどうしても食べたくて「糖質選択」に移行する方もいらっしゃいます。
それは個人の選択なので別に構わないと思いますが、ある程度糖質を摂取しながら脂質をたっぷり摂取するとものすごく体に良くないかもしれない…ということは知っておいてください。
「ゆるやかな糖質制限」では食後にしっかりインスリンは出てしまいます。このとき、余った糖質と脂質はすべて中性脂肪になります。
太る能力が高い方であればただ太るだけで済みますが、もともとあまり太れないタイプの方の場合、余った中性脂肪が皮下脂肪ではなく内臓脂肪・異所性脂肪(筋肉内や肝臓などに脂肪が沈着)して糖尿病などを発症しやすくなります。
野生のライオンやトラは肉ばかり食べていても糖尿病や動脈硬化になることはまずないでしょうけど、ヒトがお米をエサに混ぜたら(食べるかどうか知りませんが)たちまち病気になるでしょうね。
そういうわけなので、血管を大事にしたいと思う方はくれぐれもご注意ください。動脈硬化や脂肪肝や糖尿病は痩せている人にも起こりますのでね。
今回の「糖質には血管を強くする働きがある」というのは、糖質制限ダイエットではない他のダイエット法を勧めている方の言葉であり、残念ながら根拠は分かりませんでした。
現在のところ、むしろ糖質の摂りすぎが血管をボロボロにしていると考えるほうが妥当だと思われますし、「ゆるやかな糖質制限」がかえって動脈硬化を進行させる可能性も否定できません。
ほとんど肉を食べずお米や野菜を食べていた昔の日本人にとても脳出血が多かったこと、そのことが日本人の平均寿命を大きく下げる一つの原因だったことを忘れてはいけません、それはタンパク不足な食事による血管への弊害だったのです。