肉は好きなだけ食べていいんじゃないの?
「糖質さえ制限すれば、肉やチーズなどは好きなだけ食べても痩せられます」という話を聞いたことがありませんか?
しかし残念ながら、肉やチーズはどれだけ食べても痩せられる方がいらっしゃる一方で、まったくそうではない方もたくさんいらっしゃるようです。
私も最初「もっと劇的に痩せると思ったのに意外に減らないじゃないかチクショー!!」と言う感じでいろいろな方に質問してみたのですが「女性は痩せにくいです」「あなたはすでに標準体重の範囲内なので痩せないです」なんて言われて…
何か代謝に必要な栄養素が足りてないんじゃないかと思って鉄、ビタミンなど飲んでみましたが、とても不足しているとは思えませんし…
そして「タンパク質でも肥満ホルモンのインスリンが出るから、人によってはなかなか痩せないんじゃないか」と思い至りました。
糖質を大量に食べるとインスリンが大量に分泌されるので、その時食べた糖質や脂質が運動で使われずに余るとインスリンの作用で全部体脂肪になることはみなさんもすでにご存じだと思います。
しかし、タンパク質では血糖値は上がりにくいけれどインスリンがそこそこ分泌される、それもタンパク質でかなりインスリンが分泌される人もいるということが落とし穴でした!
女性の場合、タンパク質の必要量をなかなか摂取できていない方も多いのです。しかし私のように、肉や魚はペロリと食べてしまえる女性もいます!
糖質制限してもなかなか痩せにくい原因はたくさんあると思いますが、今回はどうしても効果が出なくて困っている方へのヒントになれば…
タンパク質でもインスリンが出る…ってどういうことですか?
昔、ご先祖様が飢餓に備えるためにはタンパク質を体脂肪に変える必要があったんだと思うの。でもね…必要以上に出ちゃうとね。
タンパク質で大量にインスリンが出るのはどんな人?
ある実験で、50gのタンパク質を健康な人に食べさせると50gのブドウ糖を食べたときの29%に相当する量のインスリンが分泌されたそうです。
しかし2型糖尿病患者に同じことを行うと、なんと94%もの大量のインスリンが分泌されたそうです。つまり2型糖尿病患者はタンパク質で糖質と大差ない量のインスリンが分泌されるというわけです。
2型糖尿病患者やその予備軍(まだ糖尿病とは診断されていないけれどインスリンの効きが悪くなっている状態)の方ではただでさえ、同じものを食べてもインスリンがたくさん必要になるのに。
ちなみに糖尿病患者の場合、痩せてもインスリン抵抗性は残る場合があります。インスリン抵抗性の原因は肥満だけではなく、遺伝による体質もかかわっているからです。
糖尿病患者では血糖値を上げるグルカゴンというホルモンが食前でも多く、さらに食後でもグルカゴンが必要以上に増えたままになりがちだそうです。
ある種のタンパク質(種類によって差があります)を食べるとインスリンとグルカゴンの両方が分泌されますが、健常者ではどちらも少量なので問題にならないのでしょう。
しかし糖尿病患者でインスリン分泌能力が低下している私のような方ではタンパク質で血糖値が上がり、糖尿病でもインスリンを十分に出せる方or予備軍の方では血糖値は上がらなくても太りやすくなるのでしょう。
脂質は単独摂取ではインスリンを分泌させないので太る原因にはなりません。以前、朝食と昼食を無糖生クリームコーヒー(高脂質!)にしたら急激に体重が落ちて怖くなって中止したぐらいですから。
しかし、まだそれほど重症でない糖尿病患者or糖尿病予備軍の方では同じものを同じだけ食べても大量にインスリンが分泌され、同時に摂取した糖質や脂質がすべて体脂肪になってしまいます。
じゃあタンパク質だけ食べていればいいのか?⇒違います
糖質とタンパク質を同時に摂取するともっともインスリンが分泌されやすく、糖尿病患者ではさらにその傾向が強まることが分かっています。
某商品のコマーシャルではありませんが、糖質+脂質はすごく効率よく太ることができる組み合わせであることは誰もが異論はないでしょう。
そして通常は太る原因にはなりにくい肉(タンパク質+脂質)ですけれど、糖尿病患者や予備軍の方では、タンパク質+糖質ほどではないにしてもやはり痩せにくい原因になり得ます。
タンパク質がインスリンを分泌させるとしても、体にとってものすごく重要なタンパク質を制限しすぎることはできませんよね。ではどうしたらいいのでしょうか。
健康体であれば体に必要な糖質は肝臓で「糖新生」によって作ることができますが、脂肪酸やアミノ酸の中には「絶対に必要だがヒトの体内では合成できないので食事から摂取しなければいけないもの」が存在します。
どんなにたっぷり体脂肪がついていても、「必須脂肪酸」は毎日の食事から摂取しなければいけません。青魚などは特に意識して食べたほうが良いと思います。
またタンパク質「だけ」を大量に食べ続けると「ウサギ飢餓」と呼ばれる状態に陥り、最悪の場合は死亡することがあるそうです。
よく考えたら、肉を食べる野生動物はたくさんいますけど、彼らは獲物の脂質をすべて取り除いてタンパク質の部分だけをプロテインに加工して食べたりはしませんからね…
それに「肉ならいくら食べても太らない」という理屈はどうもおかしいと思っていたんです。それが本当なら、いくら食べても飢餓に備えて体脂肪を増やすことができなくなるじゃないですか。
正確に言えば「肉ならかなりたくさん食べても太りにくい人もいるけれど、そうではない人もいます」ではないかと。
本来、野生動物は糖尿病または糖尿病予備軍の状態になることはないので、肉を食べても問題になるほどインスリンが分泌されて太りすぎることは無いのでしょう。
でも現代人はいったんその状態になってしまうと、肉ですらダイエットの妨げになることもあるのではないでしょうか。糖尿病ってある意味「不自然な状態」ですからね。
タンパク質は大事、でもタンパク質と同時に脂質を摂取するのは良くない…というわけで「タンパク質と脂質を別々のタイミングで摂取する」これが悩める現代人の苦肉の策かも!?
インスリンが分泌されない時間帯を作ろう!
↑↑↑当ブログでもすっかりおなじみ(!?)のドクターシミズこと清水泰行先生のムック本が出ます。この記事を書いている時点で予約受付中です。
なんでも、糖質制限ダイエットとプチ断食(朝食を飲み物だけにして1食抜く形)の組み合わせで、1日の中でインスリンを分泌させない時間帯を長くとることで抜群のダイエット効果を生むというものだそうです。
「なんだ結局食事を抜いてカロリーを減らすんじゃないか」と思われるかもしれませんが、カロリー制限とはちょっと違うんですよね。インスリンが追加分泌されない時間帯を作ることが大事です。
カロリー制限は、ちょっと減らした程度ではかなりインスリンが分泌されてなかなか痩せない方もいらっしゃいますし、かといって極限までカロリーを制限すると健康への影響も心配ですよね。
私は昼食と夕食は高脂質になり過ぎない程度にちょっと気を付けていますが、逆に脂質不足で空腹時血糖値が上がるのも困るので(運動量が多い方は特に注意!)朝食はMCTオイル入り味噌汁で脂質を補っています♪
あとはできる範囲内で食後に運動することも大事ですね。持病のある方など、無理をしないようにくれぐれもお気を付けください。
脂質も大事だけど、糖質制限するだけでは痩せない方は摂り方にひと工夫必要なんですね!
そういうことね。個人差が大きいからいろいろ大変だけど、良ければ試してみてね!